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☆04. 感応寺くんと、お喋りしたい。
「ねえ。『白夜行』半分読んだ感想、言ってもいい?」
早速翌日。感応寺くんに話しかける。……誰とも研修時間以外喋らない彼に話しかけるのはもはやわたしの日課。「三人称で……これ多分、本人視点が入らないんじゃないかなあって思う。……なのに痛いほどに本人たちの感情が刺さるの。エモい、って一言じゃ片付けられないくらいに苦しいね。読み終わるのが本当に勿体ないよ……」
入社してすぐの研修の合間の休み時間。大体のみんなは同じ同期の仲間とお喋りするか、テンパってる文系は必死こいて勉強して理系のメンズは高みの見物。
……このなかのどれにも感応寺くんは当てはまらない。そもそも、彼が理系か文系かすら知らないのだ。
頑なにコミュニケーションを拒む彼だが、どうやら頭はいいらしい。わたしはまだ彼と組んだことはないが、……同じチームになった女の子が言っていた。
『感応寺って案外周り見てるね』……彼女が遅れをとって。チームリーダーにも言えず困っているところを、すかさず助けに入った。リーダーに、『わたしは、三澤さんのヘルプに入ります』と報告することも忘れずに。
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