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あのうっとりとした顔。なんなんだ。普通、引くだろ。
こじらせているのは自覚している。流石におれもそこまで痛いやつじゃない。……しかし。
同期と仲良しこよしつるむのは、なんか『違う』気がしていた。……社会の奴隷になるってことだぜ結局。絶望しかねえわ。
そして進んで奴隷のご身分を満喫する、こいつらが心底馬鹿に思えた。……働くのってどういうことかこいつら本気で分かってんのか? 学生みたいに。へらへらしやがって。胸糞わりい。
その日の帰りも、向谷はおれを見つけると目ざとく話しかけてきやがる。……ねえ感応寺くん……。
「うるせえ。おれに関わるな」
避けるようにして追い抜いたのだが。後ろから笑い声が聞こえておれはゾッとした。
「きゃはっ。……感応寺くんって本当……素敵★」
だから。関わるなおれに!!
周りの連中の視線が突き刺さるが無視しておれは研修ルームを飛び出し、エレベーターに飛び乗った。心臓はバックバクだった。
思わずひとりごちた。
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