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黒かと思う部分も濃紺で、様々なブルーで彩られた屋敷は白夜の中でとても美しく見える。
「明日の明るいうちに、もう一度見学させていただいてもいいですか?」
「もちろん何度でも。見学と言わずに、好きに歩いてかまわない。庭に出てもいい」
ティムの部屋でカーテンを開け、外を見ながらサンドイッチと紅茶を取る。
「好きな場所で好きなことをして過ごしていい。すでにここの皆にはミィのことは伝えてある。部屋を出る時にだけ、必ず私かセス、ラニに声を掛けてくれ。まだミィはどこかで眠ってしまうかもしれないから」
ティムが私にそう言うと、ちょうど水を持ってきたセスが
「シャワーの際にも、お声掛けしていただかないと心配でございます」
と言う。
「シャワーしながらは眠らないと思いますけど…」
「いえ、ミィ様。今の眠気は通常の睡眠を求める眠気ではなく特殊なものですから抗えないので危険でございます」
「セスの言う通りだ」
「では…今からシャワーをして休みます。もう真夜中ですよね?セスさん…セスは何時から何時までの勤務時間ですか?」
「そのようなものは特に決まっておりません。ラニと交代で休憩はいただいております」
「…寝ないの?」
「3時間ほど2回寝ますよ。ミィ様はお気になさらず、いつでもどこでも私どもをお呼びくださいませ」
先ほど、セス、ラニ、と呼ぶように念押しされたこともあり、彼女らがティムの使用人だとはわかるのだが、私までがお世話してもらうのはどうなの?でも、分からないことだらけの今は彼女らに頼るしかない。
「慣れるまでお世話になります。いつか必ず、お世話になったお礼はさせていただきますので、よろしくお願いします」
そう頭を下げた私はティムとセスの驚いた顔を知らないまま、シャワーを浴びに部屋へ戻った。
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