赤と青

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赤と青

「閉め出しとはひどいではありませんかっ」 お兄様の声と床が傷つきそうな靴音が聞こえ、挨拶は出来そうにないと思いながらもお二人に頭を下げた。 「閉め出しではない、ただの押し掛けに対処しただけだ。何日も前からティムとミィとは面会の約束をしていたのでな」 「話の内容は?」 お兄様は一体誰に聞いておられるのだろうか?そう思わざるを得ない口調と勢いだ。私とティムの一歩前で国王夫妻に向かって立っておられるのだから、国王夫妻に聞いておられるのか…彼の赤いジャケットとブラックパンツを見て、悪くないコーディネートだよね、と思う。 隣のソユンさんの鮮やかな赤いドレスは、バッスルスタイルというのだと思う。19世紀のヨーロッパで流行したドレススタイルで、日本人が洋装を始めた頃のドレスもこのバッスルスタイルだったはず。バッスルとはヒップや腰の部分が膨らんでるデザインのことで、このボリュームで座れるのがすごいなぁと思うほどのふりふりプラスリボンだ。 「ティムとミィの婚姻を認めた」 「私達が何年か前に申し出て以来まだ認めてもらえていないのに?」 「このミィは、ここへ来たばかりよ?」 王の言葉をお兄様とソユンさんで倍返しという勢いだ。振り向いたソユンさんに指を指されながらも、ティムの手をきゅっと握っているので緊張はない。 「ソユン、その手を下ろしなさいな。見ていて気分が良くないわ」 花をそっと膝の上で置き直した王妃が、続けて三度ほど瞬きして眉をひそめた。
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