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「多少の混乱はあるだろうが…」
多少じゃない混乱ですね…私は生きているのか?というレベルで混乱してます。
「まずはシャワーをして着替えないか?それから食事にしよう」
食事と聞いて空腹に気づくことから、生きているのだと分かる。それなら生きなければならない。生きたくても生きられなかった人の気持ちを私はよく知っているから。
ふーっと深呼吸してからベッドを降りようとすると、スッと手を取られた。
「ミィ、ゆっくり立て。フラつくといけない」
ティムの言う通りゆっくりと両足を床に下ろすと、そこにもふわりとした絨毯を感じ目をやる。
「…綺麗なブルー」
広がるベビーブルーは寒色でありながら、柔らかな温度のある色でとても綺麗だ。
「ふっ…」
私の言葉にティムが表情を緩めたのを感じて彼を見上げると、チュッ…額にキスが舞い降りてきた。
「…へっ?」
「こっちだ」
繋いでいない方の手で額を押さえた私を部屋の奥へと導き、彼が開けた先にはウォークインクローゼットがあった。
「すごい…」
「12時間もあれば、揃えるには十分だった」
「…わっ、私?私のクローゼットですか?」
「当然。ミィの部屋でミィのクローゼットだ。今日はどれがいい?」
どれがいいって…素敵なもの過ぎやしませんか?私は最近女王から国王に代替わりされた国の皇太子妃の装いがとても好きで彼女の発信するものを漏れ無く見ていたのだが…それに似たようなものがずらりと揃っている。
「ミィの好みに合っていそうで良かった」
「どうして…分かるのですか?」
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