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「こうして触れていると、ミィの感情が分かる。集中して、やろうと思えばミィの思っていたことも読める」
慌てて手を振り払った私を見つめたティムは
「いつもいつもではない。そう気味悪がらないで…ミィ」
そう言って大きな自分の手をチラッと見下ろすと、ぐっと握りしめた。
「触れても、読む意識を持たないと読めない。体力を消耗するものではあるからいつもいつも使う力ではない。ミィの身の回りのものを揃えるのに何がいいのか分からなくて…眠っているミィの頬に触れて好きなものを見せてもらった。悪かった」
あまりにも落ち込む様子のティムに悪いことをしたと感じた。私のためにやってくれたことなのに…
「ごめんなさい。ありがとうございます」
強く握りしめられた彼の手に指先でそっと触れると
「これって…私の感情が分かるのでしょうか?」
と彼を見る。
「読もうという意識を持てば、きっと。でも今は必要ない。言葉で伝えることが出来るなら、ミィの声で伝えて」
「体力の消耗というのは?」
「さっきまで私も眠っていた。それで十分回復している」
「良かった…」
「さあ、どれがいい?」
舞踏会のようなドレスが並ぶわけではないが、着たことのないような上質なものが並んでいることは分かる。どうしよう…迷うけれど、シャワーも着替えもしたい。
「このワンピース、いいですか?」
「もちろん。肌に着けるものは、あのチェストに」
そう指差されたチェストを開けると、ここにも見たことのないようなゴージャスなランジェリーが美しく並んでいた。
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