普通な高校生活を送りたいのです

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 どんなに逃げても次の日は来るわけで・・・。  時間をかけて朝の支度をしても学校に行く時間は来てしまうわけで・・・。  眩しい朝日をその身に浴びながらわたしはのろのろと制服に着替えていた。  同じクラスなんだし、逃げられるわけでもないのだ。  結局昨日家に帰ってから必死に考えて出た結論は、起きてしまったことをなかったことにはできないということのみ。  昨日の自己紹介で知ったのは間宮慧(まみやけい)という名前と高校近くの中学出身で陸上部だったということだけ。  わたしとの面識はないはず。  あれほどの顔なら一度見たら忘れない・・・はず。  昨日言っていた言葉は、「見つけた」と「やっぱり平気だ」だった。  見つけた、というには向こうからすればわたしのことを知っているということになる。  だがどれほど考えてもわたしにその記憶はない。  ということは、彼の勘違いということもありうる。  そこまで考えてわたしは思考を放棄した。  やめよう。  考えてもわからないものはこれ以上考えても仕方がない。  なるようになれ、だ。  元来深く考えることは苦手だ。  苦手なりにいろいろ考えた結果、昨日のようなハプニングが起きるのだから余計に考えるのが嫌になる。  とにかく昨日のことは置いておこう。  わたしはまだ平穏な高校生活を諦めたわけではない。  なんにせよ、高校生活は始まったばかりなのだ。  まだまだ取り返せる!  とにかく計画としてはこうだ。  こっそりと間宮くんから事情を聴く。  こっそりというのが最重要。  あとはその事情によって考える!  うん、これだ。
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