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第2章 冷たい雨
「はっ・・・・」
ポツリとポツリと頬を打つ冷たさに目を覚ました。
弱々しく上半身を起こす。
「痛たたたっ」
激痛が体全体を襲った。一瞬、自分がここで何をしているのかが分からなかった。
やっとの思いで階段の手摺の脚の部分に背中を預けた。
脈打つ速さに合わせるかのように右足がズキンズキンとする。
ジーンズの裾を捲りあげたが暗くて良く見えなかった。だが、兎に角すごく痛い。両手ですねを擦ろうとしたが、触るだけで顔が歪んだ。
暗い空を見上げる。小粒の雨が顔に落ちてきた。
「止みそうにもないな」
俺は諦めるように一つため息をついた。
それにしても、いったい何なんだよ。何で俺が突き落とされなきゃならないんだ。それに、あいつは誰なんだよ。
いくら考えても思い浮かばない。男からは恨まれても女から恨まれることなど全く無かったからだ。
この歳になるまで一度たりとも経験は無い。何故だかわからないが、女に興味を感じない性癖なんだと自分では思っている。
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