第2章 冷たい雨

1/2
前へ
/7ページ
次へ

第2章 冷たい雨

 「はっ・・・・」 ポツリとポツリと頬を打つ冷たさに目を覚ました。  弱々しく上半身を起こす。 「痛たたたっ」  激痛が体全体を襲った。一瞬、自分がここで何をしているのかが分からなかった。  やっとの思いで階段の手摺の脚の部分に背中を預けた。  脈打つ速さに合わせるかのように右足がズキンズキンとする。  ジーンズの裾を捲りあげたが暗くて良く見えなかった。だが、兎に角すごく痛い。両手ですねを擦ろうとしたが、触るだけで顔が歪んだ。  暗い空を見上げる。小粒の雨が顔に落ちてきた。 「止みそうにもないな」 俺は諦めるように一つため息をついた。    それにしても、いったい何なんだよ。何で俺が突き落とされなきゃならないんだ。それに、あいつは誰なんだよ。  いくら考えても思い浮かばない。男からは恨まれても女から恨まれることなど全く無かったからだ。  この歳になるまで一度たりとも経験は無い。何故だかわからないが、女に興味を感じない性癖なんだと自分では思っている。    
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加