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第3章 通りの影
また気を失ったのか・・・・
顔を地面につけたまま、野生の動物のように耳を澄ました。車の音どころか足音すら聞こえない。
「静かだよなあ・・・・何でこんなに静かなんだろう」
体を仰向けにして深呼吸をする。星はまだ一つも見えない。
「ふっ、何だったんだろうな」
こみ上げてくる可笑しさに我ながら失笑する。
まるで夢の中のような、そんなフワフワと気分だ。高級なベッドに横たわるとこんな感じなのかと、まるで関係ないことまで考え始めた。
今、何時なんだろうか。ジーンズのポケットに手を持っていくが、どのポケットを触ってもスマホが見当たらない。
「ああ、あの時に落としたのか・・・・」
体の痛みより何より、スマホを無くしたのが何より痛かった。
「えっと、何処の階段だったっけ? ああ、そうだ、あそこだったな」
知らないうちに結構歩いて来てたんだな。ここからだと結構遠いぞ。
だけど、探さない訳にはいかない。俺の唯一の相棒だし。
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