1人が本棚に入れています
本棚に追加
「よいしょ」
肩肘で体を起こそうした時、頭上にぬっと黒い影が覆い被さってきた。
「はっ?」
俺は驚いて飛び起きろうとしたが、体の回復はまだそこには至ってなかった。影はすっと身を引くように俺の上から消えて、それを追って体を捻ったが、影はもう見当たらなかった。
「くそっ! 誰なんだいったい?」
右足を庇いながらも俺は立ち上がった。膝から下にまたズキンと激痛が走った。
ズルっと引き摺った右足のつま先にコツンと何かが当たった。俺は何気無く地面に視線を落とす。
「スマホ?」
俺は足元に手を伸ばしてそれを拾い上げた。
「俺のスマホだ。えっ、じゃあ、ここで落としてたってことか?」
画面は割れてはいないようだ。一応、上着の袖で画面を拭ってみた。
「助かった」
俺は安堵した。
最初のコメントを投稿しよう!