第3章  通りの影

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「よいしょ」 肩肘で体を起こそうした時、頭上にぬっと黒い影が覆い被さってきた。 「はっ?」 俺は驚いて飛び起きろうとしたが、体の回復はまだそこには至ってなかった。影はすっと身を引くように俺の上から消えて、それを追って体を捻ったが、影はもう見当たらなかった。 「くそっ! 誰なんだいったい?」 右足を庇いながらも俺は立ち上がった。膝から下にまたズキンと激痛が走った。  ズルっと引き摺った右足のつま先にコツンと何かが当たった。俺は何気無く地面に視線を落とす。 「スマホ?」 俺は足元に手を伸ばしてそれを拾い上げた。 「俺のスマホだ。えっ、じゃあ、ここで落としてたってことか?」  画面は割れてはいないようだ。一応、上着の袖で画面を拭ってみた。 「助かった」 俺は安堵した。  
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