男というもの

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家事も育児も手伝う、つもりだった。 けれど、世間が不景気を謳いだしてきたころ、俺の勤め先の外食チェーン店はもろにその不景気の煽りを受け、人員削減を余儀なくされた。 エリアマネージャーの俺も、担当店で人手が足りない時はエプロンをつけて店内で働いた。 「いらっしゃいませ!本日のオススメはこちらの刺身の盛り合わせです。いかがですか?」 「お客様、お飲み物を先にオーダー願います」 入社当初しか経験のないフロアの仕事は、思ってた以上に疲れた。 フロアが落ち着くと、あとは洗い物を片付けて最後はレジ締めまでやる日もある。 そんな日は、家に帰ってまで洗い物などの家事をしたくなくて、ほとんど杏奈に任せるようになった。 _____まぁ、杏奈は専業主婦だから俺がやらなくても、これくらい大丈夫だよな そんな日がしばらく続いた。 エリアマネージャーの仕事だけの時は、事務的なことばかりだったから、帰りはそんなに遅くなることもなかったし、店舗回りはあったが体力的な疲れを感じることもあまりなかったのだけど。 連日の店舗業務に追われていると、先が見えないこの仕事に焦りをおぼえる。 「はぁー!」 思わずでた深いため息は、上司のところまで届いたようだ。 「どうした?岡崎くん」 どうしたもこうしたもないだろこの勤務状態で、と言いたいところだがそこは抑えた。 部長も慣れないパソコン業務を回されて、あくせくしているのを見かけていたからだ。 「いや、なんていうか……この景気の悪さっていつまで続くんですかね?」 「わからんな、国がなんとかするじゃないのか?」 「先行きが見えないと、この忙しさを乗り切れる自信がありませんよ。毎日、疲労困憊です」 俺のグチを聞いて、ポリポリと頭をかく営業部長。 「そうだな、俺もパソコンなんてやってるとさらに老眼がひどくなるようだよ。そういえば、岡崎くんとこは子供が産まれて間もないんだったよな?」 「はい、もうすぐ半年になります」 「そうか、赤ん坊がいたらそりゃ、こんなふうに先行きが見えないと不安にもなるよな……でもな、いいこともあるぞ」 「え?なんですか?」 わざわざ席を立って、部長がそばにきた。
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