1位になりたい!

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1位になりたい!

「1位になりたい!」  放課後、教室で真由がいきなりそう言った。 「何よ。いきなり」 「今度さ、期末テストあるじゃん。それで、私、1位になりたいの」  私たちのクラスではテストの総合点上位5位までが発表される。生徒のモチベーションを上げたいという担任の方針だった。クラスの人数は30人だ。 「私さ、前のテストでの結果、感覚的にたぶんクラスで20位以下だと思う」 「そんなのわかんないじゃん」 「結構、色んな子に聞いたら私より点数高い子がほとんどでさ、ちょっと焦ったんだよね。1位の橋野さんと2位の川崎君の点数もすごく高かったし」  真由はクラスの人気者だ。普通だったら嫌われてしまうような言動も、なぜか真由なら許されていた。 「そこでさ、美奈、提案があるんだけど」 「提案?」 「そう、今度の期末テスト、2人で頑張って1位と2位になろうよ。美奈ならちょっと頑張ればできるでしょ。前のテスト、3位だったんだから」  真由のその言葉に私は、少し胸が痛んだ。 「じゃあ、決まりね。2人でクラスの天下取ろうぜ!」  そう言って真由は教室を出た。  私は真由に申し訳ない気持ちになった。私は1位を取れるのだ。たぶん。
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