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小さいころから勉強も運動も得意だった。
そのおかげで、小学生の時はクラスの人気者で、それなりに幸せだった。
ところが中学になるとその環境は少しずつ変わっていった。
―何もかもできていてムカつく。
―私達を絶対、馬鹿にしている。
―冷たい態度。
そんな陰口を言われるようになったのだ。
私はみんなを馬鹿にしているつもりはなかったし、冷たい態度をしたつもりもなかった。でも、勝手なイメージでみんなは私を見た。直接的ないじめはなかったものの、私はクラスで浮いていた。
そんな、状態を変えたいと私はわざと手を抜いた。
テストではわざと解答欄を空白にしたり、答えを間違えたりした。成績が急激に落ちたら、親や教師が心配すると思ったので、3位くらいにはなるようにした。
体育でも、3位くらいを常に意識し、みんなにわからない程度に走るスピードを遅くしたり、球技でもボールを落とすようにした。
そうしたら、中学2年生の時から友人ができた。クラスで浮くこともなくなった。友人は「1年生の時の美奈は完璧すぎて近寄りがたがったけど、今はそんなことないね」と言って笑った。
私はどこかで罪悪感を覚えながらもこれで良いのだと思った。これくらいが私の人生なのだと。
高校生になってもその考えを変えるつもりはなかった。
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