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第一幕 一章 出逢いの季節ですよ一匹狼くん
※こんにちは。こんばんは。いつも王道学園と一匹狼くんを読んでいただきありがとうございます。作者が作品を最初から読み返してみたところ…ひっじょうに読みにくい!ので…改訂版という形で1から書かせて頂きます。本当にすみません…元の話から少しストーリーも変わります。CPは変えませんが慎総攻めになります。もちろん受け要素もあります。それでも読んでくださる皆さんには大変な感謝を申し上げます。それでは……
「「「「「キャッー!!」」」」」
「黙れ。…いい子だ。さて…新入生の皆入学おめでとう。知っているものが大半だろうが俺がこの紅学園の生徒会長を務めている皇 黒羽だ。お前たちの学園生活は俺たち生徒会がいてこそのもの。教師の介入はほとんどないと思え。実力があるものは上がりないものは堕ちる。ここでは努力を怠るな。俺たちにに認められたければ自分を過信し驕ることを止めろ。俺に代わる実力者になら俺はいつでもこの座を明け渡す気でいる。それはお前たち1年にもいえることだ。せいぜい俺を越えられるように努力しろ。俺もお前らの学園生活が充実したものとなるよう努めることを約束しよう。…以上だ。」
登壇した時とは違い静まり返った体育館を一度見回し踵を返す。
紅学園。絶海の孤島に建つ国が運営する全寮制の男子校。国の才を育てることが目的に自主性が重んじられる学園だが実態は「生徒会」を中心に特定の生徒を崇拝しその者に近づいた生徒を制裁という名のもとに堕とす。そんな雄の集まりだ。
「生徒会」そのトップである生徒会長──────俺は入学式を無事に終え体育館の裏口から外に出た。
これからの仕事の予定を頭の中で組みながら生徒会室のある5棟を目指す。
─────なんだあれは……人…生徒…か…?
どれほども歩かぬうちに道端で無防備に寝転ぶ人影を見つけた。
めったに人が通らないとはいえここは学園の敷地内。いつ誰に襲われるともしれないというのに、ましてや今は入学式が終わったばかり。
Fの生徒ならともかく一般生徒がこんなところで何を…っ寝て…る…?これ…酒の空き缶か…?!東雲に報告…いや先に起こすか…
空き缶を拾い生徒の頭に叩きつける。
「ン…んー…」
マイペースに目を擦りながらごろんとこちらを向いた生徒は半目になってこちらを睨んでくる。
どういう神経してんだよ。つかこいつ…誰だ…?
「ってえな…んだよ人が気持ちよく寝てるのに…あ?あんた誰?」
「…んだよはこっちの科白だ。んでこんなところで堂々と酒飲んで寝てんだよガキ。」
「あ?…あー…」
「…黙っといてやるから今すぐ教室へ行け。」
「教室……わあった。じゃあな。起こしてくれてあんが────あ?」
「ぜってえ分かってねえだろ。連れてってやるから学年クラス名前言え。」
「いや分かったって。クラス行きゃいんだろ。」
「クラスにな。そっちは寮だ。明らかにさぼろうとしただろ。」
「チッ…バレたか。ったぁ…!」
「聞こえてんだよアホ。おら行くぞ。」
生徒の腕を掴もうとした瞬間その手が消えた。
っ…!
ぴりぴりとした衝撃が全身を走る。
「へえ…貴方強いな。」
「…行くぞ。」
「ちょっ痛い痛い……」
呻く生徒を無視して彼の襟を掴み校舎に向かって引きずる。そういや…
「お前1年だな。クラスは。」
「んー…知らね。」
「チッ…名前は。」
「黒瀬 慎。」
くろせ…黒瀬か。確か…っ?
「?何。」
「お前…いや…ついてこい。」
「あれ貴方俺のクラス分かんの。」
「………」
「おーい…チッ…だんまりかよ。」
こいつがS…?ありえない…だが…じゃあ俺の記憶が間違ってるってのか…?いや…それこそありえない。現在この学園には黒瀬という生徒は在校生の中にいない。新入生の中にもたったひとり────この生徒が嘘を吐いていなければの話だが───それでも黒瀬 慎とフルネームで名乗った以上その生徒が在籍するクラスはS以外にありえない。
黒髪平凡。今俺の後ろでぶつぶつと毒を吐いている彼を一言で表すならそれに尽きる。特徴といえばその黒髪が肋骨のあたりまで伸ばしてあるということと、左の耳に銀のピアスをしているということぐらいだ。そのうえ相手が明らかに先輩だと分かっているにも関わらず、崩れない口調と態度。堂々と入学式をサボり、酒を飲んで寝ている神経…それにあの拳だ。速すぎて見えなかったうえにとてつもなく重かった。なんなんだこいつは。…まあ追々分かるだろう。
いつの間にかついていた1棟の昇降口で当然のように中履きを持っていない黒瀬にスリッパを出し、再び彼を引きずってエレベーターに乗り込み三階に向かう。
「おいちゃんと立て。」
「だりぃ…っとS…か。」
「道順は覚えただろ。明日からはきちんと制服で来いよ。」
「ハイハイじゃあな。」
「じゃあなじゃねえんだよ。何のために俺が連れてきてやったと思ってんだ。」
「あー今から制服取りに帰んだよ。ったくなんで服装に自主性が重んじられてねえんだよ。…離せよ。」
「人の話を聞け。俺は明日からと──────」
「るせえな。誰だこんなとこで騒いでるアホは───あ?黒羽?」
「…すみません皇先生。サボりを見つけたので連れて来ました。」
「お前は…黒瀬か。ったく入学式からサボりやがって。ほらさっさと入れ。」
「えっは?いや俺サボるか───つうっ…教師が生徒に手上げていいのかよ…」
「どの口が生徒なんて言ってんだよ。黒羽ありがとな。あとは任せろ。」
「はい。慎明日もサボらず来いよ。」
「なんで呼びひゅて…つか痛いわ離せホスト。」
「誰がホストだ。さっさと入れガキ。」
「チッ…クロハサン…一応礼は言っとく。ありがと。」
「黒羽さんってお前なぁ…生徒会長様に向かってそれはないだろ。」
「…はあっ?生徒会長?!って逃げようとしてるし…!」
黒瀬 慎…面白いな……
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