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華月は素直で優しく、明るい女性に成長していった。
母親がいなくて寂しい思いもしたであろうに、僕の前ではそんなそぶりも見せなかった。
僕は華月に、時々お母さんの理世の話をしていた。
理世は妊娠した時に新型ウィルスに感染し、新型ウィルスと闘いながら華月を命がけで出産して天国に旅立ったこと、華月が皆から愛される女性に育ってもらいたいと願っていたことを伝えた。
そんな理世の思いを華月なりに理解してくれたようで、華月は理世に感謝しているようだった。
理世の命日の日、僕は車に華月を乗せて理世のお墓詣りに行った。
僕がお墓の掃除をはじめると、華月も一緒に手伝ってくれた。
その後、僕が線香を供え手を合わせてお祈りをすると、続けて華月がお祈りをした。
帰りの車の中で華月が、
「お父さんは、お母さんのお墓の前で、何をお祈りしたの?」
と質問してきたので僕は、
「『華月の育て方、これで良かったのかな?
これからも天国から見守ってください。』
とお母さんに話したよ!」
と答えた。
「それより、華月は何をお祈りしたの?」
と僕が質問すると華月が、
「『だらしないお父さんだけど、お母さんの代わりに私が面倒見るよ!』
とお母さんに伝えたよ!」
と答えた。
僕が、
「何だと~」
と言うと、華月が大声で笑い出した。
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