妻の命日は娘の誕生日

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暑さが厳しくなってきた7月、海外で発生した新型ウィルスが日本にも上陸し、感染者が増加しているというニュースが話題になっていた。 静岡県内でも感染者が発生し増加の一途をたどっていた。 僕は仕事で会社に電車通勤しなければならないため、通勤や会社で感染しないように注意していた。 しかし理世の出産予定の8月に入って、僕は今まで経験したことがないような発熱に襲われた。 病院に行って検査を受けたところ、新型ウィルスに感染していることが発覚した。 僕は理世への感染を心配して病院への入院を希望したけれど静岡県内で感染者が急増していたため、軽傷者に分類された僕は自宅療養することになった。 病院から自宅に戻った僕は会社に連絡して休暇を取得し、理世には僕に近づかないように言ったけれど、理世は僕のことを心配してお粥を作ったり頭を冷やしたりして看病してくれた。 僕は高熱にうなされて意識がもうろうとしていて3日間ほど寝込んでしまったけれど、その後熱は下がって何とか身動きできるようになった。 しかし、心配していた事態が発覚した。 理世が新型ウィルスに感染してしまったのだ。 さっそく病院に行った理世は、妊婦であることもあって入院することになったけれど、病状が悪化して重篤状態になってしまった。 このままでは母子ともに危険な状態であることを医者から告げられた僕は、何もできない自分が情けなかった。 それに、そもそも僕が外から新型ウィルスを持ち込んでしまったことに罪悪感を覚えていた。 僕はただ何もできずに、理世が回復してくれることを祈るのみだった。 新型ウィルスの関係で理世とは面会もできない状態になってしまい、僕は仕事が手につかない状態で精神的にも追い詰められていった。 唯一の面会手段はオンライン面会で理世が入院して2日後、看護師さんのご協力で理世はタブレット、僕は自宅のパソコンを使って理世と話をすることができた。
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