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理世が亡くなってから49日の法要と納骨を執り行った。
その夜僕が自宅に帰って赤ちゃんにミルクを与えて赤ちゃんがすやすやと眠っている姿を見ていると、急に部屋の電気が消えて辺りが暗くなったかと思うと霧のように白い煙が沸き起こって、そこから理世の姿が現れた。
「仁貴、赤ちゃん無事産まれたのね!」
僕は理世に謝らなければならないと思い、
「理世、本当にごめん!
僕は赤ちゃんの命を守るために、帝王切開をする道を選んだんだよ!
帝王切開をしなければ、理世と赤ちゃん2人とも命が助かった可能性があるんだよ!」
と正直に全てを打ち明けた。
「仁貴、それでいいんだよ!
私は仁貴との間にできた赤ちゃんをどうしても産みたかった。
だから仁貴の選択は間違ってないよ!」
と言ってくれた。
「赤ちゃんの名前、『華月』にしたよ!
理世と一緒に見た満月が忘れられなくてね!」
僕は理世に赤ちゃんに付けた名前を伝えた。
「良い名前ね!
皆から愛される女性に成長してくれるといいね!」
理世の言葉は嬉しかった。
「赤ちゃんは、大切に育てていくよ!
だから、理世も見守っていてね!」
僕が理世に話をすると理世が、
「仁貴、お迎えが来たみたい…
私は、いつも仁貴と華月の近くにいるよ!」
と言葉をかけてくれて、微笑みながら霧のようになって消えていった。
僕は、理世に正直に謝ることができたからか、心の重荷から少し解放されたように感じた。
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