電球少女ロボット・ルゥ(LW)

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 電球少女という名前の由来は、彼女達の頭の両サイドには小さなLED豆電球がくっついているから。彼女達の開発中にあの大震災があり、計画停電で夜間の光源に悩まされる人が多かった。そこで、シホをあらかじめ充電しておけば一晩は電球をつけっぱなしでも電池切れしない機能を搭載してあるのだ。おまけに、暗闇の中で手探りをしなくても、 「シホ、明かりをつけて」  と声掛けするだけで、自動でつけてくれる。もちろん寝る時に「消して」と言えば消してくれる。幸い、直接的にはまだ災害に見舞われた経験のない僕だけど、想像するだけでこれは非常に便利じゃないかと思うんだ。  シーズンになると、僕は横浜ベイクオーターのクリスマスツリーをシホを連れて見に行って、彼女をツリーの下に立たせて電球をつけた。この場所のクリスマスの展示はいつも、ツリーの下に小さな家や人形を飾って、小さな街を表現している。彼女の体のサイズと違和感ない大きさの街を歩く姿を見たら、ますますシホがこの世界に実在している実感が持てるんじゃないかと思ったんだ。  シホはイルミネーションの明かりのひとつみたいになっていた。 「シホの光、綺麗だよ」  僕の中にある素直な感動を、もっと複雑な言葉で賛美してあげたいところなのだけど。残念ながらあんまり複雑な言葉を重ねると、シホの答えは「ごめんなさい、わかりません」って定型になってしまうから。彼女に伝わりやすい簡潔な言葉を使うしかない。 「この電球はシホの自慢なんです。真っ暗で困っている時はいつでも『明かりをつけて』と言ってください」  これは、電球少女シリーズのパンフレット表紙にも大きく記載されている、彼女達のキャッチフレーズだ。
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