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「紫夕!良かった、元気になったんだね!」
「ねねっ!今日は暇なのっ?訓練してくれるっ?」
「ボク、この前よりずっと出来る事増えたんだよ!久々に見てよ~!」
守護神の特殊部隊第1隊長の紫夕は、将来それを目指す子供達にとって憧れの存在だ。人気者の紫夕は、あっという間に腕や手を引っ張られている。
「だ~!俺は今療養期間中なんだ!またにしろっ!」
「え~っ!そんなぁ~……」
「次っていつ?」
「紫夕そう言って、あんまり来てくれないじゃないか~!」
「うっ、……仕方ねぇだろ。忙しいんだから!
大体、「紫夕、紫夕」呼び捨てにすんな~!人にものを頼むなら、それじゃあダメだろっ?」
その言葉や態度は、パッと見面倒臭そうだけど、オレには違うって分かるんだ。本当は慕われて、恥ずかしいだけで……紫夕は嬉しいんだ。
「はい、分かりました!」
「紫夕先輩!お願いします、訓練つけて下さい!」
「ボクも!紫夕先輩に見てほしいです!」
紫夕の言葉に、素直に言葉遣いを直して敬礼する子供達。そして、「よし!素直でよろしい!」って笑顔になりながら子供達の頭を撫でてる紫夕。
それもまたカッコ良くて。
ああ、好きだな、って思うーー。
「てな、訳で……。
雪、わりぃ!ちょっとだけ、コイツ等の訓練に付き合ってくるわ!」
「うん、大丈夫。オレもまだ手伝いあるし、気にしないで行って来て」
オレが微笑んでそう言うと、紫夕は笑顔を返してくれて……。子供達に引っ張られて中庭の方へ歩いて行った。
……
…………その後。
オレは赤ちゃんの世話や子供達と遊びながら、窓から見える中庭で子供達に訓練をしてあげてる紫夕を時折見てた。
紫夕は、きっと良いお父さんになるんだろうなーー……。
紫夕はよく「子供の相手は大変だからもう勘弁だ」って言ってるけど、何だかんだ面倒見が良いからオレはずっとそう思っていた。
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