αにしてΩたる日

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 更に更にところ変わって、ここはとある大学の研究室。科学者は人類が理想とする発電機構を完成させた。なんと、空気中の成分によって電力を発生させる「空気発電」の技術に成功したのである。火力、水力、原子力…… そのどれでもない第四の発電機構がこの世に誕生したのだ。風力、太陽光、地熱などとは発電量は桁違いである故に第四の発電機構の座に入ることは確実とされている。  つまり、人類のエネルギー問題が空気発電の発明によって解決に至る切掛なのである。発電機構が全て空気発電へと変わる日も近いだろう。  それが開発された大学は空気発電の完成と同時に全電力を空気発電で賄うようになっていた。想定では八畳一間程度の大きさの空気発電機一つで、一つの市の世帯全ての電力を賄えるとされている。空気発電機が量産され、全世界に配備された暁こそが、人類のエネルギー問題の解決なのである。  そして、今日一月一日は空気発電機の完成日。人類の歴史に残る日とされるのは間違いないだろう。その立役者である大学教授は窓より差し込む一月一日の朝日を浴びながら述べた。 「今日は人類の夜明けだ…… これを発表すれば、世界が揺れるであろう。今日は人類にとって特別な一日であらんことを!」
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