αにしてΩたる日

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 更に更に更にところ変わって、ここはとある国の戦場。とある国は隣国より侵攻を受け、頑強に抵抗を重ねていた。その抵抗は十年に及んだ。十年間、戦争を継続していたのである。  その戦争が十一年目を迎えようかと言う時、侵攻を行っていた独裁者が病に倒れ逝去。これにより、とある国と隣国の間に講和条約が結ばれることになり、終戦を迎えたのであった。 その時刻は一月一日の朝日が昇る時間。新年を迎えると同時に戦争が終わったのである。  両国の国境を挟む最前線にて自動小銃を構えていた兵士達は、無線でその報せを受け、喜んだ。両国の兵士達は自動小銃を放り投げて万歳三唱の大喜び、講和条約による終戦のために勝ちも負けもない。 とある国の兵士は侵攻してきた隣国に言いたいことこそあれ、もう殺さなくても良いことを安堵するのみ。その隣国も明らかに侵攻した自国が悪いことこそわかっていたものの、独裁者の手前それを言うことが出来ずに渋々ながら侵攻を行っていた、もう理不尽な殺しをしなくてもいいことを安堵するのみであった。 お互いに家族の待つ故郷へと戻って行くのであった…… 両国の兵士は思う。新年の始まりと共に戦争が終わる今日という日は特別な一日であると。
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