αにしてΩたる日

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 更に更に更に更にところ変わって、地球より遥か上空の地球衛星軌道上に宇宙船が突如現れた。その衛星軌道上の宇宙ステーションで新年を迎える宇宙飛行士(アストロノオツ)達は震天動地の驚きに包まれるのであった。 宇宙飛行士は試しに地球上のありとあらゆる言語の電波を宇宙船に飛ばしてみたところ、信じられない返答が電波で返信され、更に震天動地の坩堝へと落ちていくのであった。 「私はポレパギンゲ星の者です。私は宇宙開拓旅行の最中です。敵意はありません。そちらの星の言語体系と私の星との言語体系は乖離しているようですので、そちら様の送信した電波の中から言語を分析して然るべき返答を送信させて頂きました。そちらの星の名を教えられたし」 これが我々地球人と彼ら宇宙人とのファーストコンタクトである。宇宙飛行士は妙に腰が低く丁寧な対応を行うポレパギンゲ星人に困惑しながらも、返答を行った。 「この星は『地球』です。太陽系第三惑星です」 「地球…… 蒼くて緑で綺麗な星ですね。あの? 今、あなた方がいる建物は何でしょうか? 宇宙空間に浮いているようですが」 「ああ、宇宙ステーションと言います。我々が作った人工天体で、我々は宇宙の観察のためにここにいるのです」 「あの、その人工天体を見たいのですが…… そちらに行っても宜しいでしょうか?」 「来られる…… のですか?」 「はい。宇宙船をこの場に固定します。私は宇宙服を着て、そちらにお邪魔すると言う形で良ければ」 宇宙船を宇宙空間にその場に固定。これが可能と言うことはで地球の科学力を遥かに凌駕している存在である。宇宙飛行士はそのような科学力を持つポレパキンゲ星人の姿を見てみたいと考え、宇宙ステーションに招くことにした。 宇宙ステーションのエアロックを開けて数分後、ポレパキンゲ星人が宇宙ステーションの中に降り立った。その姿は地球の人間と酷似していた、宇宙服のデザインも我々宇宙飛行士が纏うものと大差はない。 「rtgbdゔぃえfゔぃえ」と、ポレパキンゲ星人は言った。これがポレパキンゲ語か…… 何を言っているかが分からずに困惑していると、ポレパキンゲ星人は宇宙服の首周りにあるボタンを押した。 「大変失礼致しました。翻訳機の電源を入れ忘れていました。私はポレパキンゲ星から参りました開拓大使の『ラテチスニ』と申します」  宇宙飛行士はラテチスニに話を聞くことにした。 地球への来訪は全くの偶然、宇宙船での一人旅が好きで見つけた星を訪れては宇宙の地図を広めて開拓していくことが趣味とのことだった。ポレパキンゲ星は争い事を嫌う性格で、侵略の意図は全くの皆無。それどころか、地球の科学力を宇宙ステーションから分析し、ポレパキンゲ星より千年は遅れていると感じ、科学技術の供与による両星の交流の架け橋となることを約束したのだった。  宇宙飛行士は宇宙局にその事実を報告した。その報は世界各国の首脳に報せられ、各国一致でラテチスニを史上初の宇宙からの来訪者として歓迎する流れとなった。 そして、今日一月一日は地球人と宇宙人が初めて邂逅した日、特別な一日と定められるのであった……
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