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「あれ・・・今日はやけに静かだなあ?」
ネザーランドドワーフウサギのなのは、自慢の長い耳をパラボラアンテナのようにクルクルと動かして、周りを警戒しても何も物音がしなかった。
空からカラスや猛禽類の羽音、
地上からキツネやイタチやクマの足跡。
あらゆる天敵の発する音といった音が全く耳から聞こえない。
しーーーーーーーーーん・・・
「静かだなあ。こんな日もあるのかなあ?」
ネザーランドドワーフウサギのなのは、この音がしなくなったこの世界の中を歩いた。
しーーーーーーーーーん・・・
何時もは、木々の葉音や草のざわめき、そして小鳥の囁きが長い耳を通して聞こえてくるのに、やけに静かだ。
「いったいなにがどうなってるんだろ・・・」
そんな不安の中を、1匹の小さな野良ウサギは歩く。
しかし、自らの足音も全く聞こえない。
・・・何で・・・?
・・・私は、この静寂の中に閉じ込められたの・・・?
ネザーランドドワーフウサギのなのは、不安になった。
何もかも時間が止まったように、見るもの全てが沈黙している。
なのは、長い耳を『くしくし』と前肢でしごいて掻いてもう一度長い耳をそばたてた。
しーーーーーーーーーん・・・
・・・やっぱり何も聞こえない・・・
・・・いったい全体、どうなっちゃったんだ・・・!!
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