1#静かな世界で

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 「あれ・・・今日はやけに静かだなあ?」  ネザーランドドワーフウサギのなのは、自慢の長い耳をパラボラアンテナのようにクルクルと動かして、周りを警戒しても何も物音がしなかった。  空からカラスや猛禽類の羽音、  地上からキツネやイタチやクマの足跡。  あらゆる天敵の発する音といった音が全く耳から聞こえない。    しーーーーーーーーーん・・・  「静かだなあ。こんな日もあるのかなあ?」  ネザーランドドワーフウサギのなのは、この音がしなくなったこの世界の中を歩いた。  しーーーーーーーーーん・・・  何時もは、木々の葉音や草のざわめき、そして小鳥の囁きが長い耳を通して聞こえてくるのに、やけに静かだ。  「いったいなにがどうなってるんだろ・・・」  そんな不安の中を、1匹の小さな野良ウサギは歩く。  しかし、自らの足音も全く聞こえない。  ・・・何で・・・?  ・・・私は、この静寂の中に閉じ込められたの・・・?  ネザーランドドワーフウサギのなのは、不安になった。  何もかも時間が止まったように、見るもの全てが沈黙している。  なのは、長い耳を『くしくし』と前肢でしごいて掻いてもう一度長い耳をそばたてた。  しーーーーーーーーーん・・・  ・・・やっぱり何も聞こえない・・・  ・・・いったい全体、どうなっちゃったんだ・・・!!
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