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「静かだわ・・・静かだわ・・・何処までも静かだわ・・・」
何も聞こえない世界でネザーランドドワーフウサギのなのは、1匹恐る恐るヒョコヒョコと歩いた。
何処に行っても、行っても、行っても、行っても、行っても、全く何も耳には音がはいってこない。
進むには、感覚だけが頼りだ。
神経をとぎらせてヒタヒタと進んだ。
しーーーーーーーん・・・
ネザーランドドワーフウサギのなのは、静寂の中をひたすら進む。
「不気味だわ・・・不気味だわ・・・何処までも不気味だわ・・・」
しーーーーーーーん・・・
あれから何処まで行ったのか、なのはこの全く聞こえない世界への不安で神経がヘトヘトになり、遂に道路のど真ん中で座り込んでしまった。
「疲れたわ・・・疲れたわ・・・もう歩けない・・・」
ブロロロロ・・・
「あっ・・・!!道路のど真ん中で小さなウサちゃんが!!・・・って!車が迫ってきてきてるし!?」
道路沿いの雑草の叢の中で、ノウサギのドレミは道路のど真ん中に無防備に眠りこける野良ウサギのなのを見つけてドギマギした。
ブロロロロロロロ・・・
「ひゃーーーーーっ!!車が小さなウサちゃんを轢いちゃう!!教えなきゃ!!注意しなきゃ!!」
ノウサギのドレミは、トントントントントントントントントントントントントントントントントントン!!と大きな後ろ足を地面に何度も叩いて、道路のど真ん中から動こうとしないネザーランドドワーフウサギのなのを必死に呼んだ。
トントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントン!!
ブロロロロロロロロロロ!!!!
「ああーーーー!!聞こえてない!!もうダメだわーーーー!!」
ノウサギのドレミは道路から目を反らして必死に耳を塞いだ。
「・・・あれ?」
ノウサギのドレミは、道路に居た筈の小さな野良ウサギのなのが見あたらない事に気づいた。
「おーい!!小さなウサギやーーーい!!」
ネザーランドドワーフウサギのなのは、道路から車が迫ってきて轢かれそうになったのを、車がやって来る振動で気付いてとっさに逃げて回避したのだった。
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