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チョコミントの味
付き合いたてのころは、隆文の家の近くにある公園でよくデートしていた。
午後のサークル活動がある日はそのままデートしたり、公園に寄ったりした。公園の近くには、駅があったため、終電ギリギリまで公園でデートして、私の家に帰るパターンが多かった。
サークルが終わると決まって夜ご飯を食べに行った。二人とも嫌いなものは少なくて、好きな食べ物が似ていた。この日は、最近できたラーメン屋さんに行こうと意気込んでいた。ラーメン屋は新しく出来たので、人で賑わっていたが、回転率が早くすぐに席に座ることができた。
激辛坦々麺がウリで、隆文は辛さMAX、私は恐れをなして5分の3の辛さを注文した。正直私は辛いのが好きだが、すぐにむせてしまって、辛すぎると食べきれないため、今回は3で挑むことにした。
ラーメンが届くと、湯気とともに、むんむんとその辛さが伝わってきた。1口啜れば辛さとひき肉の旨みが相まって辛いだけでなくちゃんと美味しいが伝わってくる。ふと隣の隆文のラーメンを見ると、明らかに私とスープの色が違う。そして唐辛子らしき固体がスープの上にこれでもかというくらい存在している。隆文は一気に麺をすすって、すでに汗はだくだくになっていた。
美味しくたべている私の隣で、だんだんと隆文の口数が少なくなり、半分を過ぎたところでギブアップしていた。
コンビニでアイスを買って、いつもの公園に着く。すっかり辺りは暗い。2人はブランコをこぎながらアイスを頬張った。
「あ~。あれはいかんかった。MAXにするべきじゃなかった。美味かったのに勿体ない。」
隆文がチョコミントのアイスの棒を咥えたまま喋った。
「3ぐらいだったら美味しく食べれたよ。」
私は既に食べ終わったアイスのゴミをくしゃっと丸めた。
「でも後悔はない~。俺は挑戦したかったんだ!!」
こいでいたブランコから飛び降りると。私のブランコの横にたつ。
「降りて。」
促されるように私はブランコから降りた。
隆文は私の肩に手を置くと、右手で私の耳元の髪をすくい上げながら優しくキスをした。
「ラーメン味でキスするのはさすがに恥ずかしかった。」
というか、人目を盗んで公園でキスをするのも恥ずかしい。でもなにより、隆文がラーメン味のキスを恥ずかしがってアイスを買っていたことを考えると、なんたがそれが面白くて笑ってしまった。
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