プロローグ

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プロローグ

 ずっと意気地なしだった。  勇気のゆの字もなくて、でもそんな自分を幼馴染が叱咤(しった)し、鼓舞(こぶ)する、そんな何気ない日常が嫌いじゃなかった。そんな自分が、嫌いじゃなかった。  ──あの瞬間までは。    体温を失っていく彼女の体を必死に揺すり続けた。  あの日ほど惨めで、無様で、クソッタレだった日は、もうきっと永劫ない。 「……ッあ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛──!!」
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