私の知らない世界線

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 ある朝、目が覚めると、そこは見慣れた自分の部屋だった。しかし窓の外が見慣れない世界になっていることなど、その時は知る由もなかった。  月曜の朝。綾女(あやめ)はいつも通りの道を通り、一緒に登校しようと約束した彼氏との待ち合わせ場所へ向かった。 「あれ?」  そこに人影はなく、綾女は首を傾げたが、すぐに、寝坊でもして少し遅れているだけだろうと電柱に寄りかかり、読みかけのウェブ漫画を読み始めた。  数話読んだところで、綾女は顔を上げた。  おかしい。いくらなんでも遅すぎやしないだろうか。また首を傾げ、スマホの画面に視線を落とす。時刻は既に遅刻ギリギリ。  仕方なく、綾女は駆け出した。   教室に飛び込んだ矢先に目に映った光景に、綾女は憤慨した。 「ちょっと! どういうつもり!?」  親友と彼氏がキスを交わしている真っ最中……と、最悪なタイミングだった。 「朝っぱらからこんな公然猥褻な浮気、よくできるわね!?」  捲し立てると、その場がしん、と静まり返った。  なに、この空気──……? まるで私の方がおかしいような……。  違和感にたじろぐ綾女に、彼氏は困惑顔で 「浮気……? 何言ってんだよ。そもそもお前が俺たちの仲をとりもってくれたんじゃん?」  綾女は絶句した。  自分の彼氏は、親友の彼氏になっていた。
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