2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
ある朝、目が覚めると、そこは見慣れた自分の部屋だった。しかし窓の外が見慣れない世界になっていることなど、その時は知る由もなかった。
月曜の朝。綾女はいつも通りの道を通り、一緒に登校しようと約束した彼氏との待ち合わせ場所へ向かった。
「あれ?」
そこに人影はなく、綾女は首を傾げたが、すぐに、寝坊でもして少し遅れているだけだろうと電柱に寄りかかり、読みかけのウェブ漫画を読み始めた。
数話読んだところで、綾女は顔を上げた。
おかしい。いくらなんでも遅すぎやしないだろうか。また首を傾げ、スマホの画面に視線を落とす。時刻は既に遅刻ギリギリ。
仕方なく、綾女は駆け出した。
教室に飛び込んだ矢先に目に映った光景に、綾女は憤慨した。
「ちょっと! どういうつもり!?」
親友と彼氏がキスを交わしている真っ最中……と、最悪なタイミングだった。
「朝っぱらからこんな公然猥褻な浮気、よくできるわね!?」
捲し立てると、その場がしん、と静まり返った。
なに、この空気──……? まるで私の方がおかしいような……。
違和感にたじろぐ綾女に、彼氏は困惑顔で
「浮気……? 何言ってんだよ。そもそもお前が俺たちの仲をとりもってくれたんじゃん?」
綾女は絶句した。
自分の彼氏は、親友の彼氏になっていた。
最初のコメントを投稿しよう!