私のごちそう

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不恰好で海苔の巻かれていない、 塩味だけのあの大きな 大きな握り飯に詰まっていたもの… それは いつでも、変わらぬ、 いびつであったかな祖母の大きな 大きな愛情だった。 なのに『カッコつかないよ!』なんて生意気言ったけれど、 どんなに仕事が忙しくても、いつも笑顔でたくさん作ってくれた。 どんなに疲れていても、早起きしてたくさん持たせてくれた。 どんなに生意気言っても、曲がった腰を直しながら 一生懸命に作ることを辞めずに居てくれたあの握り飯。 あの握り飯が、 私を作ってくれた。 祖母の握り飯が、私を育ててくれた。 どこで食べても、 どんなに離れていても、 どんな言葉よりも、 いつでも、本当に私の心をあったかにしてくれた。 いつでも、食べたみんなを笑顔にしてくれた。 ほんとうに、おいしかった! あのイビツで、あったかな愛情いっぱいの祖母の握り飯。 どんなごちそうよりも、 祖母のあのきれいな長い指で作る、 大きな 大きなあの握り飯は、 これからもずっと私のごちそうです。
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