「君たちが藪から坊主君か。勢いもあるし、この調子で頑張ってくれや。期待しとるで」

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「俺はこのナリやけど、これまでに97人と付き合った経験があるからそれを元に恋愛小説を書こうと思ったんや!」  リサちゃんが95人目だったはずだが、いつの間にか二人増えていた。 「97ッ! ヒァ(引き笑)」「中途半端な数字が逆に生々しいな!」「恋人の線引き(ライン)がおかしいんとちゃう!?」 「黒ちゃんでもそんなんおらんかったで!」  黒ちゃんは別名“嘘つきシロちゃん”でも知られるクズキャラ芸人の一人で、芸名は“シロちゃん”と言うが「水曜日の黄昏」と言うかなり攻めた企画を行う民放バラエティー番組で虚言癖が発覚した事と、同番組で恋愛に関しては見た目に反してかなりのイケメンぶりを遺憾なく発揮して何人もの女性に愛を語ってきた。特に恋愛サイコパスな一面や腹黒い素性から芸人仲間からも“黒ちゃん”と呼ばれる事が多い。所属事務所社長からは「看板芸人の一人」と言われているらしい。 「畑野、一度聞いておきたかったんやけどお前の“恋人”のラインはどっからや?」  恋愛に関して他人があまりとやかく言うもんじゃないと思って躊躇(ためら)っていたが、番組と言う事もあってようやく訊けた。 「接吻(キス)からやろ。違うか?」 「違くないけど、向こうからの告白は?」  正論過ぎたので、僕は別の事も訊いた。 「キスからは前後するけどあったよ。キスした()からは全員告白されてるけどな」 「プレイボーイやな〜。今の若手俳優さんでもこない言う人おらんやないか?」
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