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「んでもな、小説家も大変やぞ。
素人作家さんでもそこそこええもん書ける時代や。プロならプロットとかしっかり立てて、伏線張って張って張って回収する筋道が立っとらんとあかんわ。何なら伏線を回収しながら張ったりとかせんと話題にもなってくれんと埋もれるだけやで。
自分も何年か前の大人気作が古本屋で売られとんの見ると泣けてくるで。買ってくれる客がいるだけまだマシやと思うけど、投げ売りするような値段になってもうたら悔しくてしゃーないわ」
「それは僕もあった。僕の今の価値は、何年か前の自己啓発本と同じ価値しか無いのか…って。『チーズはどこに消えてしまったのか』じゃなくて『僕のあの時の人気はどこへ行ってしまったのか』だよ」
最悪の場合は古本屋に行けば『いつでも会える』だろう。いつでも会えるアイドルより安っぽい気しかしない。
「佐藤さんそう言えば書籍の話で言うたら、麻布姉妹や矢田(一郎)君のエッセイとか今のような人気になると思わはれてましたか?」
矢田一郎はテレビ企画とは言え気象予報士の資格を持っていたりと器用に何でもこなすベテラン芸人の一人だ。近年では「奥様と僕」と言う漫画エッセイシリーズが人気で累計100万部を越えている。どこかノスタルジックで哀愁を誘う日常系エッセイになっている。
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