「君たちが藪から坊主君か。勢いもあるし、この調子で頑張ってくれや。期待しとるで」

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「小説家こそウケとか流行りとか狙ったらダメだよ。結局誰かの二番煎じでしかないからね。小説家も芸人もお茶と一緒で、一番煎じが一番美味いよ」  芸人にもリズムネタとかキャラ芸人のような流行り廃りがある。一発屋は流行りに乗っかった感じがしてすぐ消えて行くが、この人しか居ないと思わせる芸風が確立すると長生きする傾向にある。なお、不祥事を起こしたら一巻の終わりになってしまう。  そんな話をしていた所で休憩時間が終わった。僕はその間、残念ながらムラマツや他の先輩芸人さんと実りのある話をしていた。ひとしこの実はネタ合わせに余念がなく話し掛けられる雰囲気では無かった。 ☆  休憩が終わり演者全員が所定の位置に戻ると収録再開となった。時間は既に六時を回っており、収録時間は五時間を越えている。特番クラスなら珍しい話ではないが、スペシャルでもない一時間番組ではかなりのレアケースになっている(まとめ録りはある)。 「をー、今日はな特別やで。もう一個悩みを聞いたる。どんな悩みや?」 <今は声ドア芸がウケてそればかりになっていて、お笑いとして評価されていない気がする。> 「これはどっちの悩みや?」 「これは…僕です。これはホンマありがたい事なんですけど、他局になってまいますが例の番組が僕らの予想外にウケて今もこうしてゴールデンタイムなんかの番組に呼ばれるようになって返り咲いた気はしてるんです」「せやなー」
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