入れ替わり初日

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入れ替わり初日

俺の父さん、めっちゃヤバい。 全ての村を手中にしようとか企んでて、あちこちの村を襲ってる。 ◇◇◇ 目が覚めた時、重いドアから顔を覗かせたのは甲冑の青年だった。 「ショーン様、起きてください。朝ごはんを終えたら剣の稽古ですよ」 ...剣の稽古? 思考が停止した。 てか、ここ、何処。 周りを見渡すとコンクリートで出来た部屋は俺が座っている狭いベッドと本棚、箪笥にデスク。 「....随分、殺風景な部屋だな」 不意に枕元にある本を手に取った。 剣の使い方? 「ショーン様!」 「あ、は、はいー!」 慌てて、箪笥からベージュ色のコットンらしきシャツとスラックスを履き、青年の後を歩いた。 「あ、あのー」 「どうしました?ショーン様」 「その、お手洗いは何処ですか?あと顔も洗いたいし、歯も磨きたくて」 青年が目を丸くした。 「昨日の訓練でお疲れの様ですね、ご案内します」 「ありがとうございますー」 そうして、父上との朝食。向かい合う、その父上の姿は身長は軽く3mはあるんじゃないか、てくらいあり、鍛錬された筋肉質な体。 俺はまるで、もやしか、てくらいに縦も横もひょろい。 「ショーン、やっと起きたか」 ダイニングテーブルに並ぶ、パン、スープ、目玉焼きにサラダ。 ぐー、と腹が鳴り、椅子を引き座った俺は早速パンに齧り付いた。 「ショーン、剣は上達したか?次はセシアール村を攻める予定だが、早くお前も一人前になり共に戦わねば」 「え、学校は?」 父上の無愛想な厳つい顔が驚愕の目に変わった。 「お前に勉学は必要ない」 「そんなもの?」 「大丈夫か、ショーン。熱でもあるんじゃあるまいな。お前の口から学校等とは」 「大丈夫だよ。てか、このパンもスープもめっちゃ美味い」 近くにいたメイドさんらしいお嬢さんに空になった皿を差し出した。 段々わかってきた。 これ、アレだわ。俺が最近、夢中になってたRPGの世界だわ。 夢か現実かわからないけど、昨夜もラスボスを探して徹夜でゲームしてたもんな。 でもって、この父上こそが多分、探していたラスボス。 血も涙もない、あちこちの村を破壊している冷酷無情なラスボス、ベック・トゥールーク。 その一人息子の俺、ショーン・トゥールーク。 何がきっかけかわからないが、何故か俺がラスボスの息子と入れ替わったみたい。 剣の扱いすら知らない。 一日の半分以上を剣の手合わせ、体の鍛錬で筋肉痛。 よく、本物のショーンはこんな細い体で耐えてたな。 俺は三日を経てば嫌気がさした。 と、同時に皆が眠った夜にこの父上のいるデスプリン城のあるサンノベール村を出る為に服をリュックに詰め込んだ。
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