第1話【街中の男】

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第1話【街中の男】

雨がザアザアと音を鳴らして降っている。かなりの大粒だ。 傘をさしたサラリーマンは足早に駅へと向かっていた。 ただただ時間(トキ)だけが流れていた。 俺はそう、親のいないだ。ビルとビルの間、所謂(いわるゆ)路地に俺は住んでいる。 (ちな)みに、まともなご飯は食べていない。 ゴミ箱漁って食べるという、なんとも野良猫のような生活だ。 もうそろそろ、盗まないといけないぐらいに食料が減っていた。 「やあ君…」 路地で座っていると、スーツ姿で、片方の髪が長い男がこちらを見ていた。 話しかけた…? 「ゆっくりでいい、こっちへ来てくれ」 俺は言っている意味が少し、いや、全くわからなかった。 「どうしてですか?」 「お前が撫でているから離れてもらいたい」 猫?あぁ、『にゃおすけ』のことか。でもコイツは俺の友達で、離れるなんて… 男は俺を(もてあそ)んでるわけではないだろう、顔がそれを証明している。 拒否したら怒られそうだな。言った通りにした方がいいのか?いや待て、コイツは俺を何に利用するか分からない。 ただ、俺が助かる未来も有り得る。 にゃおすけ1人にするのは怖いが、仕方がない。 俺はスッと立ち上がって男の方へ向かった。 「よし、いいだろう。」 するとにゃおすけが起き上がって、背伸びをした。 そのあとこちらに気づいたように顔を向けながら静止している。 数秒経ってから、俺は目を丸くさせた。 にゃおすけが…立った… 茶色かった毛並みも、真っ白な雪のような色に変わり、何時(いつ)しか木の葉と一緒に消えていった。 「えっ?えっ?にゃおすけは?どう言うことですか???」 俺はかなり困惑している様子を全体で男に教えた。 「お前の…えっと?にゃおすけ?は怪人『変貌猫(バケネコ)』。普通の猫にも、人にも、他の動物にもなる。普段は2本立ちの怪人だ」 「怪人…」 流石に頭真っ白だ。なにがいつからどうやって…にゃおすけは俺を騙してたとでも言いたいのか。 「そうだ!君、またここに居ても不便だろ?私の事務所に来るといい」 暗く沈んだ心が、少し浮いた気がした。 「いいんですか!」 「あぁ、是非是非!」 彼は笑顔を見せた、明るく、変だが可愛いと言える表情だった。 それから数分、特に面白みのない、湿気た道を歩いて行った。ピントきたものといえば、ラーメン屋や寿司屋、カツ丼屋や居酒屋だった。 「そういえば君、お腹空いているんじゃないか?」 奇遇だ、丁度お腹が空いて、歩くのができないとこだった! 「はい!えっと…」 「はっはっは、なんでも言ってくれ」 「じゃあ、ハンバーグが食べたいです…」 あの肉汁たっぷりのまんるいお肉の塊を豪快に焼いたものが確かハンバーグと行き交う人々が話していたのを覚えていた。 「そうか、ファミレスでも行くか」 ふぁみ…なんだそれ? △△△ 「うわぁー!!!」 俺は思いっきり興奮した。沢山のハンバーグとやらと、さらだと呼ばれる緑色や赤色を置いたものなど、見たことも食べたことも無いものが沢山あった。 でも、男はティラミスとカフェラテだけですんでいた。一体なんのつもりだ…? 「どうしてこんなに沢山のご馳走があえうのに、君はケーキと飲み物で満足しているんだ?」 「私は今お腹が空いていなくてな、まっ、気にせず頼んでくれ」 俺はハンバーグセットとフライドポテト、1口チキンにデザートでチョコパフェを頼んだ。 「そう言えば、私の名前を教えてなかったな。私は蘋島 優(うきじま ゆう)、怪人討伐所の社長をさせてもらっている」 「しゃっしゃちょー!?」 あまり聞いたことがないが、しゃちょーというのは凄いと聞いている。 「突然で済まないが____」 驚いている俺を構わず無視して、話が進んだ。いや、変わったのか? 「君さ、怪人が見えるんだろ。じゃあうちの社員にならない?」 俺は心のそこから声を張り上げた。 「はい!よろしくお願いします!」
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