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第3話【スモーカーの悲劇】
「____っ!?」
俺は布団をバサッとどかし、起き上がった。
フカフカのベッドだ、暖かい。
目の前にはあの、大人っぽい女性、ニノが居た。
「おはようございます、もう、動けますか?」
どこか透き通る声、優しさ混じりの切なさと美しさにどこか引き込まれる。
「はっはい、えっと…ありがとうございます。その、俺は何が…」
「考えすぎです。深く考え込んだ末、パニックを起こした様子でした。」
彼女はクスクスッと笑った。
「もう、食べちゃいたいほど可愛いらしいのですね。」
俺は頬を赤らめた。
「えっと、聞きにくいのですが、もしや貴方も…?」
「はい、怪人ですけど?」
うぐっ…頭が痛い…
「でも、うーん。善良な怪人?言い方には迷いますね。」
「要は良い怪人なんだろ?」
そのまんまではあったが、相手は納得したようだった。
だが、まさか優しい怪人がいるとは思わなかったな。
🚬🚬🚬
気を取り戻した俺は、意識が少し朦朧としながらも、自販機で飲み物を買った。
「新人クンは、何飲むの?」
いきなり話しかけてきた彼女は確か…煙幕の遣……えっと、スモーカーだ。
片手にタバコを持ち、空を優雅に見ている。
「自分で買うんで、大丈夫です。」
彼女は「あっそ」と言ってどこからともなく現れた缶ビールをグビグビと飲み始めた。
「プハー!うんめぇ〜、アンタ何歳?」
もう酔っ払っている感じはした、早速酒臭い。
「15…?」
「じゃーまだまだ酒は飲めねぇーな。」
そう言って俺の頭を叩いた。
「1つ聞いていいですか。」
「ん?」
「この討伐所で死人とか出るんですか…」
「…そうだねぇ、超鬼畜任務もなくはないし。うん、死ぬね。」
何かがスモーカーの心の蓋を開けた気がした。良くない、最悪な思い出が、スモーカーの中を巡っている気がする。
「自分、とある任務で周りが死にゆく姿を見たんだ。」
表情が暗くなった…のか?ずっと笑顔だな。
「いやーでもね?ニノって凄いのよ?!範囲回復とかできて最強ヒーラーなんよ!!」
情熱のある言い方だな…
「そろそろ戻るか〜」
彼女は去り際に振り返って言った。
「安心しろ、お前を助けるぐれぇのヨユーはあるからよ!」
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