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藍那さんから一連のやり取りを聞いた。
「すげぇ、ドラマみたい」
「ホントに殺されるかと思ったー」
「大丈夫ですか?メンタル的に…」
「あぁ、それは全然‼︎」
「なら、良かった…」
藍那さんはにっこり笑った。
俺の携帯からLINEの受信音がした。
「…お兄さん、連絡ついた?」
「あ、はい。降りて来ます」
「良かったね」
そう言うと藍那さんはバッグを肩に掛けた。
俺は咄嗟に声をかけた。
「あの…」
「ん?」
「手話、教えて下さい‼︎」
「え…っと、私?」
「はい‼︎」
「もっとちゃんとできる人に教えてもらった方がいいと思うけど…。しかも洸くんて、家…静岡だよね?」
「…」
「…あー、わかった。じゃ、友達」
「え」
「友達になろう‼︎手話教えるから、代わりにアイドル活動について色々聞かせてよ」
「…うん」
何でも良かった。
とにかく彼女と繋がっていたかった。
連絡先を交換していると、エレベーターから兄ちゃんが降りて来るのが見えた。
「後で連絡、します」
「…うん」
一度、兄ちゃんの方に目を向けて、それからまた藍那さんに目を戻した。
何故かはわからなかったけど、自然に顔を寄せ合って俺たちはキスをした。
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