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 翌日、学校帰りにレンと待ち合わせをした。  "お待たせ"  "全然"  レンは私のあげたジャンパーを着ていた。  "それ、やっぱり似合うね"  "あの後、ずっと半袖だった?"  "大丈夫。すぐに上着、借りた"  "借りた?"  "そう。友達に貸してもらった"  あの時のキスを思い出していた。  土曜日、楽しみだな…。   目の前にレンの手が伸びてきてヒラヒラ動く。  "どうしたの?"  "何が?"  "急にぼんやりするから"  "してないよ。大丈夫"  "そう?"  "それよりも、一昨日のこと思い出したりしてない?大丈夫?"  "大丈夫‼︎おっさん生きてたし"  "何であんな変な道入ったの?"  "近道になるかと思って"  "結局かなり時間ロスになっちゃったね"  "確かに"  "用事には間に合った?"  "いや。そのまま家に帰った"  レンは少し寂しそうだった。  とりあえず事件の事はトラウマにならなそうで安心した。
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