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テンプレートな一日の始まり
人生とは、ある程度の長さを生きていると、テンプレート化されるものである。
午前七時、目覚まし時計のアラームがけたたましく鳴る。
枕元に置いた時計を手に取ろうと布団から腕を伸ばすも、布団の外の冷気に耐えきれず、うるさく主張する時計をそのままに、もう一度布団に潜って、微かな睡魔に身を委ねようと目を閉じる。
そして、それと同時に部屋のドアが開き、数歩の足音がした後、布団を剥ぎ取られた。
「おそよ」
「……まだ七時なんだから、おはようだろ」
「私は六時に起きたんだから、おそようなんだよ」
「うるせえな、委員長」
「はいはい。さっさと着替えて降りて来な。おばさんの美味しい朝ごはんが待ってるよ」
そう言って部屋を出る委員長――家が隣の幼馴染で、俺のクラスの学級委員長の谷口凪に手を振って返事をして、高校の制服に着替える。パジャマを脱いで、長袖インナー、ワイシャツ、ズボンの順に着て、ベルトとネクタイを締める。そしてセーター、ブレザーを身につけ、靴下を履く。
そして、未だに鳴り続けている目覚まし時計の存在を思い出し、ボタンを押して音を止める。
こうして俺の一日は始まる。
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