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 これが男の人に求められるということなのか。二十七年間求めてきたことが、こんな簡単に手に入るだなんて。いきなり大量のアルコールを与えられたように頭がくらくらする。 「もっと触っていい?」  こくりと頷くと、男の手が腿から後ろに回った。事前の話し合い通り、尻から責めてくれるらしい。  終点まで電車で二十分。その間、停車駅は一つだけ。T線は痴漢プレイをするにはうってつけの路線だった。  電車の車輪がレールの繋ぎ目を通るたびにガタンと鳴らす規則的な音に、若い女性たちのはしゃぐ声。日常の場で平然とした顔を装いながら、腰から下は破廉恥な行為が行われている。布越しに尻たぶを撫で回されているだけなのに、とんでもなく興奮した。  吐息が漏れないように唇を噛み締めた。行き場のない快感は下腹部へ溜まっていく。じくじくと疼く性器は、ショウの手つきとともに膨れ上がっていくのがわかった。  突然、ぐんと電車が揺れて、重心が前へと引っ張られる。ショウの身体を背中で受け止める。同時に、息を呑んだ。  ショウも勃っている。 「……前、いい?」
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