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「いや、母からエグいほどのLINEと着信が」
キッチンへ入り、質問責めのトーク画面を見せる。
交際終了ってほんとなの? あんなに順調そうだったのにどうして? 深雪さんがダメな理由ってなんなの? あんた本当に結婚する気あるの?
狗丸はフライパンでウインナーを炒めながら、気の毒そうな笑みを浮かべた。
「お母さん、相当テンパってんじゃん」
「っすね。深雪さん、俺が不利になることを何も言わなかったんだ……」
昨晩、深雪から狗丸に恋をしていることを当てられたあと、両親へのカミングアウトについて訊ねられた。これからだと答えると「大変だと思うけれど頑張ってください」と励ましてくれた。そんな深雪の応援を目の当たりにして、胸がいっぱいになる。
「深雪さん、いい人だな」
「……はい」
狗丸は手元を見ぬまま、コンロのスイッチを手早く切った。スクランブルエッグが盛られている丸皿に、焼き目のついたウインナーを添える。玉子はとろとろだし、ウインナーはほどよく焼き目が付いているし、見ているだけで食欲がそそられる。
「できた。飯食おうぜ」
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