足利尊氏(高氏)という男

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 足利高氏(尊氏)は、鎌倉幕府を裏切って、帝(後醍醐天皇)に就いた、と見える。  尊氏は時勢を見る目に長けていた、とも思える。  また、源氏の一門として、優遇されながら、北条氏の政治腐敗を憎んでいた、とも思える。  ここが、この足利尊氏という人物の分かりにくさである。  利己主義なのか。理想主義なのか。そのどちらか、理解し難い思考を持っていた。  尊氏と交友のあった禅僧、夢窓疎石によると、彼は精神が強く、生に執着がなかった。また慈悲か強く、寛大であった。  なので何かあれば、すぐに謹慎、謝罪をする、またそれを受け入れる性格であった。  そして、権力者には珍しい無欲の人であり、無類の人の良さを見せ、よく恩賞として知行を与える癖があった。  戦功等を挙げた家臣にその場で領地を与えたりする事が多く、御家人などからは慕われていた。  そして、この尊氏の性格が、後々に今川家に禍福をもたらす。
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