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彼は俯いた。
「それからずっと、生き残りである私たちは宇宙を彷徨って来た。私たちみたいな者を『流浪の民』というのですよね。地球の、あなた方の言葉…日本語で言うと」
そして笑顔になる。
「あなたは先ほど、この映像を見て『地球』と言いましたね。それほどに、私たちの母星は地球にそっくりなのです。私たちも驚きました。そして歓喜した。やっと、この流浪の日々から抜け出せるのだと」
「まさか…。地球を、侵略しようというの?」
彼は笑って首を横に振る。
「私たちが目指すのは共存です。暴力的なことは考えていない」
甚だ疑わしかったが、今はそれよりも、知りたいことがある。
「怜音も…宇宙人なの?」
彼は頷いた。
「はい。あなた方の感覚で言うところの、ね」
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