耳鳴り

遭遇

ピー…ピーピー…

そのとき、耳の奥で微かに音がした。
日頃、気にしないように、敢えて耳鳴りに注意を払わないようにする癖がついている。
だがこの時は
「耳鳴りに誰かの声が混じっている、とかならホラーだけどな」
さっきの怜音の言葉が気になって、耳を澄ませてみることにした。

しばらく経つと、また聞こえる。

ピー…ピーピー…

……聞こえますか……聞こえますか……こちらはT3402―JS…定時連絡……

思わず耳をふさぐ。耳の中から聞こえたのではなく、外部から聞こえた音だと思ったからだ。いや、そう思いたかった。

ふさいだはずの耳から、また聞こえてくる。

……応答が可能な者はテレパスを送信するように……ただいま富士山上空320km…母船より通信中……

「なにこれ！？」
思わず叫んでいた。