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私はベッドから起き上がると自分の身体を見た。このドームの壁とよく似た銀色のボディスーツのようなものを着せられている。夢の中で目が覚めて、それでもまだ夢の中にいるのって変な気分だ。
…と思いたかった。信じたくはないが、これはどうやら夢ではないようだ。
銀色のベッドに手の平で触れてみると、ひんやりと冷たい。頬っぺたをつねるとしっかり痛い。こんなリアルな夢があるものか。私はさらわれたんだ。宇宙人に。
「怜音は? 怜音はどこ…?」
「彼は審議にかけられています。反逆の恐れがありますので」
「…何を企んでいるのか、聞かせてもらえるのよね?」
宇宙人は壁に向かって手をかざした。
すると何もない空間に、青い惑星が映し出される。映像なのだろうが、まるでそこに実体があるかのようにリアルだ。
「…地球…?」
「これは今は無き私たちの母星です。あなた方の感覚で言う300万年ほど前に、愚かな戦争によって消滅しました」
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