舞台照明の用語

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舞台照明の用語

 舞台照明の用語には、物騒なものが多い。  当時は特に何も思わず普通に使っていたけれど、照明から離れた今考えると、「これって、舞台照明を知らない人からしたら面白いのでは……?」と思ったので、そのことを書いてみる。  私は、高校生の時、演劇部に所属していた。でも、私は目立つのは好きじゃなかったし、人前で演技をすることには、あまり興味を持てなかった。  それでいて、手先が不器用だった私は衣装や小道具を作る自信もなく……。  照明に全力を注ぐことを決めた。  照明はとにかく覚えることが多い役職だ。  機材の種類や使い方を覚えることはもちろん、色の種類や仕込み図(劇場の平面図・照明器具の種類と配置・投光角度と照射範囲・使用する色を記入したもの)の記号も覚えなければいけない。  だから、結構人を選ぶ役職ではあるけれど、暗記が得意だった私は性に合っていたのか、どっぷりと照明に漬かり込んだ。  演劇部で過ごす時間は、ほとんど照明に捧げたと言っても過言ではない。  ……というわけで、最初のところに話を戻すと。  照明用語は、めちゃくちゃ物騒なのである。ここから先は、ひたすら用語を紹介していくぞ!  通常「コードを綺麗にまとめて、留められた」  照明用語「コードを綺麗に殺せた」(本気で〝殺す〟という字を使う。コードを動かないようにするという意味合いがある)  通常「このゼラ(照明に色を付けるカラーフィルターのこと)、もう使えない」  照明用語「このゼラ、死んでる」  通常「役者の顔に影ができちゃってる」  照明用語「役者の顔が死んでる」  こんな言葉遣いを、平気で(時には笑顔で)していたんだなぁ……。  しかも、裏方は全身黒い服を着るのが鉄則だったから、謎の説得力が出てしまうという。  だからなのか、よく他の役職の人たちに「照明はサイコパスだ」と言われていました(笑)  以上、「物騒な舞台照明特集」でした!  *これは、あくまで私の母校での話なので、プロの照明技師の方がどうかはわかりませんので、そこはご理解下さい。
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