7.明るみになる事実

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 ふらつく富永を抱えて部屋に戻る。富永はかなり酔っていて気がついていないようだが、藍羅たちの部屋は隣だ。 「とにかく富永を寝かせよう」  ヒロくんの手も借りて、富永を部屋のベッドに寝かせた。靴を脱がせてそっと上から布団をかけてやる。  相当な泥酔状態の富永は「すまない……」と唸り声をあげつつ目を閉じたままだ。とても動ける状態ではないようだ。 「富永は少し休めよ」  神乃は部屋を薄暗くする。特に富永が休んでいるベッドの周辺は見えにくいくらいに暗くなるよう調整した。  富永からの返事はない。あのまま眠ってしまったのかもしれない。 「ヒロくん、私たちも戻ろっか」  見ればヒロくんもかなり辛そうだ。  藍羅との計画では、富永とヒロくんを酔わせてベッドに休ませたあと、部屋をチェンジするという手筈になっていた。  そのため藍羅は神乃に意味深な視線を送ってきたあと、「ヒロくんも寝たほうがいいよー」とヒロくんと腕を組んで、ヒロくんを隣の部屋に連れていく。  部屋のドアは閉まると自動でロックされるタイプになっている。そのため、本来は二重ロックにために付いているドアガードをわざとふちに当たるように調整し、ドアに僅かな隙間ができるようにしてある。  あとで入れ替えをスムーズに行うため、そうしようと藍羅と話したからだ。
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