7.明るみになる事実

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「俺も俺の復讐のためにヒロく——西嶋さんに協力を持ちかけましたが、藍羅と別れることは正解だと思います」 「はい。全部神乃さんに出会えたから決断できたことです」  よかった。ヒロくんも納得してくれて。 「それと、僕のことはヒロくんと呼んでくださって結構ですよ」 「あ、はぁ……」  神乃は苦笑いだ。ヒロくんにすっかり同志だと思われたらしい。 「僕がどうしてこの年まで独り身だったか理由を話してもいいですか?」  ヒロくんは急にぽつり話し出した。 「僕は女性は苦手なんです。子供の頃からずっと苦手でした。そして好きになるのはいつだって同性でした」  同性……? 「でも相手はノンケって言うんでしょうか? 男に興味なんてなくて、恋愛関係にもなれずにいつも叶わない片想いをしていました」  ヒロくんは神乃の両肩を突然ガッと掴んできた。神乃はヒロくんのほうを向かざるを得ない。 「だから結婚なんてできなくて、でもそれじゃ世間体が保てないので無理に女性と結婚しようとしたんです。相手は誰でもよかったのですが、藍羅だけはナシでしたね。でもそのお陰で、こんな素敵な人と藍羅を恋人交換することができました」 「えっ、あ、あの何か勘違いされてますよね……?」  恋人交換にのってほしいとヒロくんに話はしたが、それは藍羅に言い逃れをさせないためのものであって、本当に交換はしない。ただ藍羅を騙せばいいだけだ。
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