7.明るみになる事実

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「藍羅とは結婚しても、お互いの浮気や風俗は容認しようという話だったんです。それは男が好きな僕にとっても、気が多い藍羅にとってもいい条件だったから」  ふたりはなんという打算的な結婚をしようとしていたのだろう。 「でもそれは駄目ですね。僕は男性が好きなのに、偽って女性と結婚するのはやっぱりよくないと考え直しました。自分の気持ちには正直でいるべきですよね、神乃さん?」 「いや……」  神乃の肩を掴む、ヒロくんの力が強すぎる!  なんだこの状況は。  ヒロくんは女じゃなくて実は男が好きだったのか?!  神乃としては男の自分はヒロくんの恋愛対象外だと思っていたのに。 「神乃さん、僕は運命を感じたんです。だって男との交際を諦めて女と結婚しようとしていたら、僕の目の前に突然あなたが現れた。しかも『恋人交換の話にのって欲しい』って。僕は二つ返事ですよ。交換するにきまってるじゃないですか」 「だからそういう話じゃないですって! 藍羅がそんなあり得ない話をしてきたから、わざと話にのったふりをしてくださいって意味で——」 「往生際が悪いなぁ、神乃さんは。僕たちは今こうしてホテルのベッドでふたりきりなのに」  ヒロくんは神乃を勢いよくベッドに押し倒した。そしてそのまま覆い被さってくる。 「待っ……! 話聞いて……っ!」  神乃は抵抗するがヒロくんもがっしり神乃を押さえつけてくる。 「ちゃんと聞いてます。僕はあなたが提案してきた恋人交換に同意します」  両手首を掴まれ、強くベッドに押し付けられる。身体はヒロくんの体重で押さえつけられ身動きが取れない。 「さっさと既成事実をつくりましょう。そうすればあなたはあの男に振られます。そしたら僕のものになってください。これで無事に交換、成功ですね」  ヒロくんは神乃の着ていた長袖Tシャツにに手をかけ、それを勢いよく引き上げた。  神乃は服とともに両腕を頭上まで引っ張られ、上半身裸にさせられる。着ていた服はクシャクシャになって両手首に絡まっているだけだ。 「やばいです神乃さん、すごく興奮する。僕はやっぱり女じゃイけない」  ヒロくんの興奮状態が、触れるヒロくんの下半身から神乃に伝わる。 「やめてください……っ!」  神乃が抵抗するも、ヒロくんは神乃の身体に艶めかしく触れてきた。  神乃はなんとかして服の絡まりを解いて両手を自由にする。 「あっ……嫌だっ……!」  ヒロくんとベッドの上で揉み合いになっていたときだった。
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