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「とみー、これじゃ四人で話し合いどころじゃないね」
藍羅の声だ。
「ふたりは朝からお楽しみの最中だったから私たちは行こっ」
お楽しみの最中……これが?!
「あ、あぁ……」
富永の声もする。神乃はヒロくんによってベッドに押し倒されており、富永の姿は見ることはできない。富永がどんな顔をしているのかもわからない。
でも、他の男とベッドにいるところを富永に見られたんだ。こんな場面を見たら富永はもう……。
「とみな——んぐっ……!」
呼びかけようとしたらヒロくんの手で口を塞がれた。
嫌だ。富永行くな。これは一方的に襲われているのであって、富永を裏切って他の男と関係を持とうとしているわけじゃない。
恋人交換なんてするわけない、藍羅を懲らしめるために相手の策略にのったふりをしただけだ。
そう言いわけしたいのにヒロくんの手が神乃にそれを許さない。
——富永っ……!
神乃は富永がどこにいるともわからないが、自然と左手を伸ばしていた。
富永には到底届くことのない、弱々しい手。
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