最終回

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最終回

年が明けて… 2月14日の昼前のことであった… 場所は、宇多津の海浜公園の恋人の聖地のモニュメントの前にて… この日は、ゆうとが挙式披露宴を挙げる日であった。 恋人のモニュメントの前で結婚式をあげた後、全日空クレメントホテルで結婚披露宴を執り行う予定である。 予定通りに挙式披露宴の日を迎えることができた… しかし、ほんとうのことを言うと全くうれしくない… アタシは、チーママさんにゆうとのお嫁さん探しを頼んだ。 しかし、前日になってチーママさんがコロッと忘れていたことに気がついたのでトラブルになった。 ひどくおたついたチーママさんは、大急ぎで相手を探しに行った。 チーママさんは、オイゴさんに対してカノジョと別れてくれと説得した。 しかし、オイゴさんは『イヤだ!!』と言うて拒否したあとかたくなになった。 チーママさんのオイゴさんが説得に応じない… それが原因で、挙式開始の予定時刻が大きく遅れた。 この時、ゆうとはものすごくつらい表情で『お嫁さんいらない…』と言うて心を閉ざした。 こんなことになるのだったら、ゆうとが結婚する時期を少しだけ遅らせた方がいいみたい… チーママさんにあやまっておこう… それからしばらくして、チーママさんがアタシのもとにやって来た。 チーママさんは、アタシに申し訳ない表情で言うた。 「けいこさん、申し訳ございません…オイゴがかたくなになって…」 「チーママさん、やっぱり…挙式披露宴を延期…ううん…ゆうとの結婚の時期を少しだけ遅らせたいので…ゆうとの結婚をやめます…ごめんなさい…」 「どうして?どうしてやめるのよ?」 チーママさんからの問いに対して、アタシは落ち着かない声で答えた。 「ゆうとの結婚する時期を…少しだけ遅らせます。」 「時期を遅らせるって…」 「あと10年…ううん、あと15年遅らせます。」 「15年後と言うたら、ゆうとさんは39になるのよ!!」 「だって…今のゆうとのお給料じゃ…お嫁さんを十分にやしなうことができないんです…お給料が少なかったら、結婚生活ができなくなるわよ…それに…自分の夫が正社員じゃないとまわりの人から言われたら肩身のせまい思いをするのよ!!…15年の間に貯蓄を作りたいから婚期を遅らせるのよ…40前で結婚した人は、アタシのまわりにたくさんいるのよ!!」 アタシの言葉を聞いたチーママさんは、強烈な声をあげて怒った。 「あんたがそのようにしたいのであれば、好きにしなさい!!そういうあんたも、生ぬるい気持ちが原因で40前になってオタオタしたのでしょ!!けいこさんがそのようにしたいのであれば、アタシはしらんけん!!結婚やめさせると言うのであれば、けいこさん自らが出ておことわりしてよね!!アタシはいっさい関知しないから!!」 アタシに強烈な声で言うたチーママさんは、背中を向けてその場から立ち去った。 アタシは、ぼう然とたたずんでいた。 そして、挙式が始まる20分前のことであった。 アタシがおそれていた非常事態が発生した。 花嫁さんが、泣きながら公園の外へ飛び出して行方不明になった。 タキシード姿のゆうとが、大混乱におちいっている間にアタシの手を取って公園の外へ飛び出した。 この時、ひろみさんがその前を通りかかった。 アタシとゆうとが逃げて行くところをひろみさんが目撃したので、なおもさわぎは拡大した。 海浜公園から逃げ出したアタシとゆうとは、宇多津港の岸壁へやって来た。 アタシはこの時、ゆうとにわけを話した。 「ゆうと…ねえ、どうしたのよ!?…ねえ、ゆうとってば…」 ゆうとは、アタシにコーフンした様子で言うた。 「ぼくは…かあさんが好きなんだ…ぼくは…大好きなかあさんと結婚がしたいのだよ!!」 そこへ、ひろみさんがやって来た。 「ゆうと…どうして…」 ゆうとがアタシに告白した様子を見たひろみさんは、泣きながら走って行った。 ゆうとは、大急ぎでひろみさんを追いかけた。 ところ変わって、ゴールドタワーの前にて… 「ひろみ!!ひろみ!!」 「離してよ!!」 ひろみさんは、ゆうとに背中を向けて泣いた。 「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…どうして、どうしてなの!?ねえ答えてよ!!アタシはゆうとのことが…今でも好きなのよ!!アタシは今日、ゆうとに想いを伝えようと想ってきたのよ…なのに…なんなのよ!!…ゆうとはいつから実のおかあさんを好きになったのよ!?」 「ひろみ!!」 「もういいわよ!!ゆうとなんか大きらい!!」 ひろみさんは、激しい声をあげて泣いた。 ゆうとは、挙式披露宴を反古(ほご)にした上にひろみさんの感情を傷つけた。 ゆうとは、ひどく落ち込んだ。 その日の夕方頃であった。 またところ変わって、宇多津の海浜公園にて… アタシとゆうとは、ふたりで海をみながらお話しをした。 「ゆうと!!なんで挙式(おしき)を台なしにしたのよ!?みなさまはカンカンに怒っていたわよ!!」 アタシの問いに対して、ゆうとは挙式(おしき)を台無しにした理由をアタシに言うた。 「ぼくは…かあさんが大好きだから…結婚式をホゴにした…」 「ゆうと。」 ゆうとは、アタシに今の気持ちを伝えた。 「ぼくは…誰が何と言おうと…ぼくはかあさんが大好きだ!!ぼくはかあさんを愛してる!!ぼくはかあさんと結婚する!!」 ゆうとの想いを聞いたアタシは、かんきわまって、涙をポロポロとこぼした。 「ゆうと…」 うれしい… うれしい… ゆうとは、アタシにプロポーズした。 「かあさん。」 「ゆうと。」 「かあさん、愛してるよ…結婚…しよう…」 アタシは、ゆうとをふくよかな乳房にギュッと抱きしめたあとアタシの今の気持ちを打ち明けた。 「ゆうと…好きよ…好きよ…好きよ…愛してる…ゆうと…アタシだけのゆうと…かわいい…」 それから2時間後であった。 アタシとゆうとは、香西北町(こうざいきたまち)にあるラブホにいた。 キャミソールとショートパンツ姿のアタシとたくましい体格のゆうとは、うすぐらい灯りが灯るベッドの上で抱き合った。 「ゆうと。」 「かあさん。」 「キスして。」 ふたりの唇が重なった瞬間、アタシの乳房(むね)奥底(おく)で眠っていたゆうとへの想いが目ざめた。 「ゆうと。」 「かあさん。」 「ゆうと…かあさんを抱いて…早く…」 「かあさん…かあさん!!」 「ゆうと!!」 「かあさん!!」 「ゆうと…ゆうと…」 それから120分間後… 「かあさん!!」 「ゆうと!!」 「かあさん!!」 「ゆうと…かあさん…もうどうなってもいい…早く奪って…奪ってぇ!!」 そして、最高潮にのぼりつめた時、アタシとゆうとはジゴクへ引きずられた。 それから数分後… ゆうととアタシは、呼吸が完全に止まった。 アタシを愛したカレは… アタシが16の時に産んだ実のむすこです。 アタシはこれから… わが子と一緒にジゴクへ()ちます… どうか…許してください… アタシとむすこが結ばれたことを… 許してください… 【墜落】
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