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第7話
ここより、物語は第2幕に入る。
時は、8月9日のことであった。
アタシは、正式にダンナと離婚した。
住んでいた家を売却したあと、高松へ移住した。
同時に、アタシはゆうとへの想いをさらに強めた。
松山と高松でふたりが離れて暮らすのはイヤ…
男は、ゆうとだけと硬く訣めたもん…
アタシの気持ちは、バーストする寸前におちいった。
この時であった。
松山のイメデリで働いていた時に仲良しだったコが目標の金額に達したので生まれ故郷の志度(さぬき市)でお店を始めることを聞いた。
アタシは、仲良しだった子に高松市内かその近辺の地域のナイトワークの情報が知りたいと電話でお願いした。
仲良しだった子は、アタシに高松市大工町に新規オープンするスナックがあると伝えたあとそこで働いてみたらどうかとすすめた。
その翌日であった。
アタシは、仲良しだった子の口コミで聞いた店へ行った。
アタシは、店のママとじっくりと話し合った。
話し合いは、まとまったので明日からさっそく働くことにした。
アタシの新しい住まいは、ことでん片原町駅の近くにあるマンスリーマンションの豪華な部屋である。
ゆうとの家がある場所は、ことでん本線の円座駅から歩いて4〜5分のところにある。
片原町と円座町の間は、電車で行けばすぐの距離である。
ゆうとに会いたくなったら、いつでも会いに行くことができる…
ゆうともアタシに会いたくなったらいつでも会いに行くことができる…
ふたりの距離は、グッと近くなった。
時は、8月14日のことであった。
アタシはゆうとにメールで『お昼ごはんを食べに行かない?』と書いて、ゆうとのスマホに送信した。
ゆうとから返信が来た。
宇多津のおか泉(うどん屋さん)に行かない?…
アタシは、ゆうとにメールで待ち合わせの時間を伝えた。
時は、正午過ぎであった。
ところ変わって、JR宇多津駅の南口から南へ歩いて12分のところにあるおか泉(うどん屋さん)にて…
ふたりは、この店のメインディッシュのひや天おろしうどんでランチを摂った。
ランチを摂ったあと、アタシはゆうとにダンナと離婚したことを伝えた。
「あのねゆうと。」
「なあにかあさん。」
「アタシ…先週…ダンナと離婚した…離婚届を出して、もと暮らしていた家を売却したわよ。」
「ダンナと離婚した…それで、かあさんは松山を出たあとはどこで暮らすの?」
「高松へ引っ越したわよ。」
「えっ?高松で暮らす?」
「本当よ…アタシ、片原町のことでんの駅の近くにあるアパートに移り住んだの…」
「ちょうどいいや…かあさん…かあさんに話があるんだ。」
ゆうとは、ひと間隔あけてからアタシに言うた。
「かあさん。」
「なあに?」
「ぼく…円座の家から出る…」
「えっ?お家を出る?」
「ぼくは、本気だよ。」
ゆうとが円座町の家を出て一人暮らしをすると聞いたアタシは、不安げな声で言うた。
「ゆうと。」
「なんだよぉ~」
「もう一度、じっくりと考え直したら?」
「なんでだよぉ〜」
「ご家族の方とじっくりと話し合ってから決めた方がいいと思うよ。」
アタシが言うた言葉に対して、ゆうとさんは煮えきらない表情で言うた。
「なんで家族と話し合いをしなきゃいけないんだよ!?」
「ご家族の方は、ゆうとがいないと心細いと思っているかもしれないわよ。」
「だから、それがいけないんだよ!!」
「どうして?」
「ぼくは24だよ!!子供じゃないのだよ!!」
「分かってるよぅ…」
「かあさんは、男のひとり暮らしはダメと言いたいのかよ!!」
「(ものすごく困った声で)言うてないわよぉ〜」
「ダメと言うのであれば、理由はなんだよ!!」
「ゆうと…」
ゆうとは、悲しい表情でアタシに説明した。
「ぼくは…家の問題が解決したから家を出るんだよ…姉の結婚相手が…決まりました。」
ゆうとは、アタシにシングルの姉の結婚相手が決まったことを伝えた。
アタシは、安心した声でゆうとに言うた。
「お姉さまの結婚相手が決まったのね。」
「はい。」
「お姉さまのお相手は、どんな人?」
「超一流企業のサンコーの商社マンです…両親は…お相手の男性をムコヨウシにすると…訣めました。」
ゆうとが言うた言葉を聞いたアタシは、おどろいた声で言うた。
「ムコヨウシ…それじゃあ、お兄さん夫婦の家族はどうなるのよ!?」
「家を出ます…兄貴は、会社から勝瑞(徳島県)に転勤しろと命令されたのです。」
「勝瑞って…どの辺りにあるの?」
「徳島市の近辺にある小さい町です…兄貴は…新規オープンのガソリンスタンドの店長を命ぜられたのです。」
「話しは分かったけど…それよりも、現地でお兄さまのご家族が暮らす家はあるの?」
「北島町にある兄嫁の実家へ移ります。」
「兄嫁の実家…」
「兄嫁の両親が『心細い…』と言うているのです…兄嫁のおにいは、北アフリカに長期出張中で帰国するメドが立たなくなったのです…兄嫁のおにいが立案した事業が大失敗したので…後始末しろと会社から言われたのです…後始末が完了するまで…20年かかるのです…兄嫁の他のきょうだいたち(全員男の子で未婚)も、海外に生活の拠点をかまえているので…帰国するメドが立たないのです。」
「そうだったのね。」
「ええ。」
ゆうとが家を出る理由がよく分かった…
だけとやっぱり…
アタシは、ゆうとに対して家族と話し合いをしてと求めた。
「ゆうとの気持ちはよくわかったけど…だけど…今すぐに家を今すぐに出る必要はないと思うよ。」
アタシが言うた言葉に対して、ゆうとは怒った声で言うた。
「だからなんで話し合いをしなきゃいけないんだよ!?」
「なんでって、ご家族の方はゆうとに家にいてほしいと思っているかもしれないのよ!!」
「オヤジとオフクロは、オレのことがキライなんだよ!!」
「そんなことないわよ〜」
「いいや!!オヤジとオフクロはオレがキライなんだよ!!」
「どうしてそんなひどいことを言うのよ〜」
ゆうとは、ものすごく悲しい表情でアタシに言うた。
「オヤジとオフクロは、『(姉貴のおむこさん)くんがかわいいかわいい…』と言うて超えこひいきしているのだよ!!…トーダイをトップの成績で卒業して超一流企業に就職した…年収は20億円以上だよ…ぼくはフリーアルバイターで、ギリギリの単位でやっと高校を卒業した…大学は行ったけど、入学式の翌日にやめた…収入も多かったり少なかったりのくり返し…だからオヤジとオフクロはオレがキライなんだよ!!」
アタシは、ゆうとに対してつらい表情で言うた。
「そんなことはないわよ…ご両親はおねえさまのおむこさんがかわいいと言うのは一時だけよ。」
「そんなことが言えるコンキョはどこにあるのだよ!?」
ゆうとは、泣きそうな声でアタシに言うた。
「オレは…中途半端な性格だからオヤジとオフクロにきらわれた!!トーダイ卒で超一流企業勤務で年収20億円以上の姉むこがかわいいかわいい…とオヤジとオフクロが言うてる…両親がよそもんばかりを超えこひいきしたことが原因でのけ者にされたぼくの気持ちなんかかあさんに分かるわけないよ!!」
アタシに怒った声で言うたゆうとは、アタシに千円札2枚を差し出したあとそのまま店から出ていった。
ひとり取り残されたアタシは、ひどく落ち込んだ。
アタシは、ゆうとに対して親の気持ちになって言うた。
それなのに…
アタシは、ゆうとが傷つく言葉を言うてしまった…
どうしたらいいの…
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